ベトナムの経済が成長するとともに、国の経済構造も大きく変化してきています。1990年から2014年にかけて、GDPにおける農業セクターのシェアが38.7%から18.12%に減少する一方、製造・建設セクターは22.7%から38.5%に増加しています。また、サービス業は安定した推移を見せています(1990年38.6%、2014年43.38%)。
農業は、全雇用者数の約46.6%を占め、対外貿易の拡大に重要な役割を果たしています。2014年の食糧総産量は45百万トンで、そのうち、米、コーヒー、紅茶及びゴムのシェアは1.6%以上の増加となりました。2014年の木材生産量は645.6万立方メートルで9.3%増加し、森林面積は226,100ヘクタールと、2013年に比べ6.1%増加しました。魚やエビなどからなる漁業生産量は633.25万トンで、2013年に比べ5.2%増加しています。ベトナムは、米、コーヒー、カシューナッツなどの農産品及び水産品の主要輸出国の一つです。
工業は、年率の平均成長率が5%程度(2013年)と、粗生産量は継続的かつ急速に成長しており、特に外国資本や民間企業は、工業発展と輸出に重要な役割を果たしています。
2016年には東南アジアで初めての高炉でもあるフォルモサ製鉄所が生産を開始する予定です。
2014年の工業生産指数(IPI)は、2013年に比べ7.6%増加し、なかでも製造、電気、ガス、水道のシェアは、9.4%増加しました。
サービス業の平均成長率は、7-8%です。2014年のサービス業の付加価値は、商業、金融、ホテル・レストラン、観光が好調に推移した結果、8%の増加となりました。消費材及びサービスの総小売売上高は、2013年に比べ11.3%増加し、国内消費市場の規模は、およそ1,376億ドルに達し、ベトナム小売市場は、世界で最も魅力的な市場の一つと言えます。2014年には、ベトナムへの外国観光客人数が787.4万人を超え、2013年に比べ4%増加となっており、観光業も引き続き堅調です。また、2013年は郵便と通信サービス業にとって飛躍の年となり、2012年比で18.8%も増進しました。
製造業及びサービス業は、ベトナムの産業におけるシェアを拡大させ続けています。これは、市場志向・競争志向の改革、民間セクター開発の障壁の段階的な撤廃、及びインフラの改善が反映されています。工業生産とサービスの、より一層の多様化は、生産量と雇用に対する更なる成長の基盤となっています。